近年、マンションを取り巻く環境は大きく変化しています。その象徴ともいえるのが、マンション関係法の改正です。「法律が変わった」と聞くと、「管理組合の話」「自分には関係ない」と感じる方も多いかもしれません。しかし今回の改正は、マンションに住む一人ひとりの区分所有者の暮らしや住まいの価値に、確実に影響する内容となっています。本記事では、マンション関係法改正のポイントを整理しながら、これからの時代に区分所有者が考えるべき“住戸内リフォーム”の考え方について、わかりやすく解説します。

マンション関係法改正が行われた背景とは
今回の法改正の背景には、全国的に進むマンションの高経年化があります。国の資料によると、築40年以上のマンションはすでに全体の約2割を占め、今後10年で約2倍、20年後には3倍以上に増えるとされています。同時に、居住者の高齢化も進み、管理組合の運営や修繕に関する合意形成が難しくなっていることが社会問題となってきました。こうした状況の中で、
- 修繕が決まらず放置される
- 外壁剥落など安全面のリスクが高まる
- 管理不全マンションが増加する
といった課題が顕在化しています。これらを受けて、国は「新築から再生までを見通したマンション管理・再生の円滑化」を目的として、マンション関係法を改正しました。
マンション関係法改正の主なポイントをわかりやすく整理
管理や修繕の「決議」を進めやすくする仕組み
今回の改正では、マンションの修繕などに関する決議について、集会に出席した区分所有者の多数決で決められる仕組みが拡充されました。これにより、無関心な所有者や所在不明者の影響で、「賛成が多いのに否決される」といった事態を減らすことが狙いとされています。一方で、これは「簡単に何でも決まる」という意味ではありません。実際には、
- そもそも集会に人が集まらない
- 修繕内容への温度差が大きい
といった理由から、合意形成そのものが難しいマンションも増えています。マンション関係法改正で「実際に想定されているマンションの姿」今回のマンション関係法改正は、単なる制度変更ではなく、「今後、どのようなマンションが増えていくのか」を前提に設計されています。国の資料では、築40年以上のマンションが急増する一方で、居住者の高齢化や賃貸化の進行により、次のような状態が想定されていますマンション関係法改正について国土交通省資料
- 管理組合の役員がなかなか決まらない
- 総会に出席する区分所有者が限られる
- 修繕の必要性は理解されているが、決断が先送りされる
このようなマンションでは、「建物全体をどうするか」という大きな判断ほど、合意形成が難しくなります。そのため法改正では、
- 決議の母数から所在不明者を除外する
- 管理不全の場合、第三者が管理に関与できる
といった仕組みが整えられました。ただし、これは「区分所有者一人ひとりの負担や責任が軽くなる」という意味ではありません。むしろ、「全体としての修繕が進まない期間が長期化する可能性」を前提にした制度とも言えます。
管理不全マンションへの対応が強化される
改正では、管理が行き届いていない専有部分や共用部分について、裁判所が選任した管理人が管理する制度も新たに設けられました。また、外壁剥落など周囲に危険を及ぼす状態のマンションに対しては、自治体が報告徴収や助言・勧告を行う仕組みも強化されています。これはつまり、「修繕を先送りし続けることが難しい時代になった」ということでもあります。
法改正で見えてくる「管理組合任せ」の限界
今回の法改正は、マンション全体の安全性を守るための重要な一歩です。しかし一方で、区分所有者個人の視点に立つと、次のような現実も見えてきます。
- 大規模修繕は合意形成に時間がかかる
- 計画が立っても、実施まで数年待つことがある
- 管理組合の判断次第で、自分の意思では動かせない
つまり、「マンション全体が整うのを待っている間に、自分の住戸は確実に古くなっていく」という状況が起こり得るのです。
「再生」や「一棟リノベーション」が現実的になる一方で起きること
法改正では、建替えだけでなく、一棟リノベーションや敷地売却といった「再生手法」も位置づけられています。これは、老朽化したマンションを「壊す or 建て替える」以外の選択肢で再生できるようにするための制度です。一見すると、区分所有者にとって前向きな制度に見えますが、実際には次のような課題もあります。
- 実現までに長い時間がかかる
- 費用負担や仮住まいの問題が発生する
- 全員の合意が前提となる
つまり、「制度が整った=すぐに再生できる」わけではありません。このような状況では、マンション全体の将来像が固まるまでの間、
各住戸の劣化や使いにくさは個別に進行していくことになります。
そこで注目される「住戸内リフォーム」という選択
マンション関係法改正の流れの中で、改めて注目されているのが住戸内リフォーム(専有部分のリフォーム)です。住戸内リフォームは、
- 管理組合の大規模な決議を必要としない
- 自分の判断で時期を決められる
- 生活の質を直接改善できる
という特徴があります。共用部分の修繕が進みにくい時代だからこそ、「自分の住まいは自分で守る」という考え方が、より重要になってきています。
マンションで増えている住戸内リフォームの内容
実際に、近年ご相談が増えている住戸内リフォームには、次のようなものがあります。
水回りの全面リフォーム

築20〜30年以上のマンションでは、キッチン・浴室・トイレ・洗面台などの老朽化が進みやすくなります。配管の更新を含めて見直すことで、将来的なトラブル予防にもつながります。
間取り・内装の見直し

ライフスタイルの変化に合わせて、使われなくなった和室を洋室に変更したり、収納を増やしたりするケースも増えています。
資産価値を意識したリフォーム

将来的な売却や賃貸を見据え、内装のデザインや設備グレードを整えることで、住戸の価値を維持・向上させる考え方も広がっています。
マンション関係法改正を踏まえた住戸内リフォームの考え方
マンション関係法改正を受け、住戸内リフォームを検討する際には、「いつ・どこまでやるか」を整理することが重要です。一つの考え方として、次のような判断軸があります。
- 短期視点:今の生活を快適にするためのリフォーム
- 中期視点:10年程度住み続けることを想定した設備更新
- 長期視点:売却や賃貸も視野に入れた内装・配管の整備
管理組合による大規模修繕は、どうしても「平均的な判断」になりがちです。一方、住戸内リフォームは、自分や家族の暮らし方に合わせて最適化できる点が大きなメリットです。法改正によってマンション全体の方向性が見えにくい今だからこそ、専有部分については、早めに主体的な判断をしておくことが、将来の選択肢を広げることにつながります。
マンションならではの住戸内リフォームの注意点

住戸内リフォームは自由度が高い一方で、マンション特有の注意点も存在します。
- 管理規約による工事制限
- 工事時間や騒音への配慮
- 共用部分(配管・躯体)との関係
こうした点を理解せずに進めてしまうと、トラブルにつながる可能性もあります。そのため、マンションでの施工経験が豊富なリフォーム会社に相談することが重要です。マンション関係法改正をきっかけに相談が増えている理由実際に、マンション関係法改正をきっかけとして、住戸内リフォームに関する相談は増加傾向にあります。その多くは、管理組合の動きが見えず不安
- 大規模修繕まで何年も待てない
- 将来の選択肢を狭めたくない
といった理由からです。「今すぐ工事をするかどうか」ではなく、「今後どうなる可能性があるか」を整理したいという段階で相談される方も少なくありません。
マンション関係法改正時代のリフォームは「早めの情報整理」がカギ

今回のマンション関係法改正は、「今すぐ全員が何かをしなければならない」というものではありません。しかし、
- 管理組合の動きがどうなるか
- 自分の住戸はどの部分から手を入れるべきか
こうした情報を早めに整理しておくことが、後悔しない住まいづくりにつながります。
まとめ|マンション関係法改正をきっかけに、自分の住まいを見直す
マンション関係法改正は、マンション全体の管理・再生を進めるための重要な制度改正です。その一方で、区分所有者一人ひとりにとっては、「管理組合任せにせず、自分の住戸をどう守るか」を考えるきっかけでもあります。葛飾区でリフォーム会社をお探しの方は、
マンション特有のルールや将来を見据えた住戸内リフォームについて、一度専門家に相談してみることをおすすめします。

